もはやこれまで

隠遁を願うアラフィフ会社員。中学校の卒業文集で将来の夢は”何もしないひと”と書いた。あれから35年、夢も画力も変わっていない。

安住の地を求める


 暖かいのか寒いのか。先日は寒の戻りで東北は雪に。昨年に次ぎまた震度6地震が発生し新幹線が脱線。折角修復したのにまたすぐ建物亀裂が入るなど気の毒過ぎる。


 かといって誰が悪いわけではない。ただただ悪いのは運とタイミングである。地震が起こるタイミング、その時代に人間が生息しているというタイミング、その時代その場に自分が居合わせたというタイミング。


 そしてそのタイミングを自らの意思で人為的に操作することはできない。日本列島の位置を考えるとこればかりは避けることができない。その他、台風や津波など世界的に見ても自然災害が多い。


 その意味では日本という国土はそもそも本来生物が安心して住むべき場所ではないのかもしれない。なので古来からアニミズム思想が深く根を下したのだろう。現代において住むべき場所を可能たらしめているのはアニミズムにとって代わった不完全なサイエンスとエンジニアリングというわけである。


 この事実を受け入れて対策しながら暮らすか、耐えられないなら地震のない海外に移住するか、自らの意思で決めれる究極の二択である。


 東北の惨状を見るたびにこの国で不動産を持つことにどれほど価値があるのだろうと思ってしまう。バブルを経て土地神話の崩壊した今、日本の不動産は簿記バランスシートでは資産ではなく負債であり、負動産と揶揄される。


 もはや労働人生のすべてをかけて購入すべきものではないと個人的には感じる。金食い虫である上にその人をその土地に縛り付ける足枷のようなものだ。前述したような災害リスクも大きい。


 この世に安住の地など果たしてあるのだろうか。それこそ幻想であるような気がする。