もはやこれまで

隠遁を願うアラフィフ会社員。中学校の卒業文集で将来の夢は”何もしないひと”と書いた。あれから35年、夢も画力も変わっていない。

いちご狩り

 どこかへ外出しようという話になった。今の時期いちご狩りなどよいのではという話になった。いちご農園に行きたかったけど調べたら50分食べ放題一人2400円みたいなのが多かった。

 

 ワシらアラフィフには50分間もイチゴのみを食い続けることはできそうにないことは直ぐに予想できた。焼肉ですら入店わずか30分で胃の限界を迎えて退出した前例があるのだ。

 

 若人でもあるまいしキャピキャピしながらインスタ用の映える写真を撮るわけでもない。ひたすら苦行僧のごとく制限時間を気に留めながら黙々といちごを口中へと放り込み、咀嚼し、飲み込むという産業用ベルトコンベアーのような一連作業が時間いっぱい継続されるであろう地獄絵図が脳裏をよぎった。

 

 加えて農園は結構いい値段設定をしている。スーパーで買えば何パック分買えるのだろう。という訳で熟考した末に自宅でいちご狩りをやることにした。

 

 時間無制限という上に、いちごを食い飽きたら他の食材も食える。食ったあとすぐに温泉(湯船に入浴剤を入れたもの)にも浸かれる、疲れたらそのままゴロンと横になれる、エアコン完備、Wi-Fi完備、駅近、近隣にスーパーありという素晴らしいロケーションである。

 

 スーパーで購入した特売いちごを洗濯バサミに一粒一粒手作業ではさむ仕込み準備をしながら、一体ワシは休日の朝から何をやっているのだろうかという、激しい虚無感にさいなまれた。よく考えたら普通にスーパーでいちごを購入して家で食ってるだけ、であることに気付いたからだ。

 

 久々のいちごは美味しかったが、案の定開始10分くらいで普通に辛くなってきた。違うものを食べたい。せんべいと柿ピーも吊るして一緒に食す。ドリップコーヒーも飲もう。至れり尽くせりのいちご農園である。

 

 暖かい春の日にいちごを十分に堪能し撤収した。帰宅時間はゼロ分である。手軽すぎる。

 

農園への入場料418円/人(税込み)

農園風景