もはやこれまで

隠遁を願うアラフィフ会社員。中学校の卒業文集で将来の夢は”何もしないひと”と書いた。あれから35年、夢も画力も変わっていない。

ジョン・マン 1波濤編 山本一力 講談社

 

 ジョン万次郎の物語。高知の漂流漁民から奇跡的にアメリカへ渡りその後幕府の通訳として祖国へ戻る生涯を描いたものである。300ページの厚みで巻数が6冊もあるので手を出せずにいたが、この度トライした。

 

 第一巻目の波濤編は万次郎を含む5名が高知沖の嵐で無人島に漂流するまでの日本側の話とアメリカの捕鯨船ジョン・ハウランド号が出航するまでのアメリカ側からの話が交互に並行して進む。いま気づいたがジョン・ハウランド号に救出されたからジョン万次郎というのか。

 

 当時のアメリカの生活事情が詳細に記載されており興味深い。クジラ乱獲のせいで大西洋でなく太平洋にまで、しかもハワイ近海でなく日本近海まで捕鯨する必要があったこと。でも日本に近づきすぎると攻撃される危険性も知りつつ日本へ向け出航したこと。いろんな偶然と運命が重なって万次郎は救出された。偶然の力というのは不思議だという感想。