「最近やっと、世間の価値観なんて別にええやんって思えるようになった」
これはネットニュース記事に出ていたLGBTのお爺さんの言葉だ。自分は男だが感覚は女、好意を持つ対象はいつも男性。思春期のころから世間体もあってずっと感情を押し殺してきた。せめて死ぬまでに一度は女性になりたい、女性として認めて欲しいと90歳から勇気を出して女装を始めた。
恐るべきは世間の価値観というやつだ。この方は90年もの長きにわたりこの実態がなく目に見えない価値観というやつに抑圧されたことになる。世間の価値観って時代とともに変化するが例えばこういう事だろう、道徳というのとは少し異なる。
ー皇国のため陛下のため奉仕すべきだ
ー男子たるものかくあるべき、女子はこうあるべき
ー学生は学校に行かねばならない
ーいい大学へ行っていい会社へ入らなければならない
ー平日からプラプラしないで60歳まで定職を持って働かなくてはいけない
たいして普遍性のない、その時の世相が生み出した虚構と妄想の価値観というやつにこれまで一体どれだけの人が翻弄されてきた事か。
冒頭の言葉は一見当たり前のようであるが心強い。まったくその通りで価値観なんて千差万別、自ら採択するものだ。自分を律する忌まわしい虚構から解き放たれる時、誰もが勇者になれる瞬間を得るに違いない。