もはやこれまで

隠遁を願うアラフィフ会社員。中学校の卒業文集で将来の夢は”何もしないひと”と書いた。あれから35年、夢も画力も変わっていない。

世界から格差がなくならない本当の理由 池上彰(SB新書)

 格差は広がり続けるという現象に理論的な裏付けがされた。トマ・ピケティの格差論『21世紀の資本』にある理論式r(return on capital)>g(economic groeth rate)である。労働で得られる収益率gは株不動産運用で得られる成長率rに勝てないというもの。早い話が金銭を人よりも手に入れるには労働側にいるよりも株不動産運用で増やせということ。うすうすそうではないかと思っていたがやっぱりそうだった。資本家強しである。

 

 お金持ちはそれを元手にお金を増やすのでますます加速度的にお金が増加していく。一例として世界の長者1位(2016)のビルゲイツは3月の資産が8兆2500億円だったのが10月には6600億円増えて8兆9100億円になっている。ここまでくると笑うしかない。

 

 アメリカは極端だが日本も多かれ少なかれ同じような傾向を辿っている。だからと言って国はこのような資本家に法人税を沢山かけたりといったことはできない。国外に会社ごと脱出されてしまうからだ。ではこのような格差傾向をなくすことはできないのだろうか。革命でも起きない限りおそらくできないだろう。それは資本主義の限界だからというのもあるが、人間の潜在的な深部に格差の存在を希求しているからだと考える。良い悪いではなく生物の根源的かつ本能的なDNAに組み込まれた欲求なのかもしれない。

 

 本書の言う本当の理由とはなんであったのか。最後まで通読したがよくわからなかった。最終章で『原因はこれだと一概に言えないところがあり、難しい』と述べている。えーー!じゃあこの本のタイトルは何なん?と思うワシであった。