読書
万次郎を乗せた捕鯨船はグアム島や高知沖などで捕鯨したあとホーン岬(南米大陸の下端)を経由してアメリカへの帰路へ着く。 高知沖ではなんと土佐の捕鯨船とすれ違うなど故郷までもう少しという処まで接近するが、ハワイに残した仲間を慮ってかろうじて海に…
救出された万次郎たちは日本に行くわけにもいかず、そのまま捕鯨船の新米乗組員green handになる。漂流者とはいえ言葉も通じず、仕事もせずただ飯食いと一部の船員から文句が出始めた頃、名誉挽回の機会が訪れる。高知では海の魚群を見張る係とまかない炊事…
ジョン万次郎の物語。高知の漂流漁民から奇跡的にアメリカへ渡りその後幕府の通訳として祖国へ戻る生涯を描いたものである。300ページの厚みで巻数が6冊もあるので手を出せずにいたが、この度トライした。 第一巻目の波濤編は万次郎を含む5名が高知沖の嵐で…
数学者、藤原正彦氏の本は昔から好きで出版されているものはほぼ読ませてもらった。文章の書き方、言葉の選択が他の文筆家にはない新鮮さを感じ、最初は数学者特有のものなのかと思った。 管見妄語は週刊新潮に連載している短編コラムを集めたものである。文…
久しぶりに本を1冊きちんと読み通した。最近、集中力がなく本が長時間読めなかった。 本書は文庫本では隠岐騒動というタイトルに改題になっている。明治維新前後の隠岐島において農民と松江藩との対立を描いたものである。なんと代官を島から追放し世界初の…
なんと1行だけ。 『来世のことを忘れず、仏の道に近いのは素晴らしいことである』という内容。 なんというか来世のことを想うのはおそらく生物では人間だけである。ほかの生き物は日常そんなことは考えない。来世どころか明日のことも考えない。今のことし…
『いろんなことに優れていても恋愛を好まない男はつまらん愚物である。しかし、がむしゃらにのめりこみ、女子から敬遠されるのはよくない。』 先生の恋愛観であるが、週刊誌の安っぽい記事のようでもある。英雄、色を好むという。色を好まない人物は、それ即…
『古来の聖な政治を忘れ、一般人が困窮しているのを無視して、俺はえらいから豪華絢爛にするわーと言ってる輩はむかつく。高貴な人の身の回り品も質素なものでよい』という話。 質素倹約を強調している。社会主義国でないので配給制で全員平等に同じ服を着て…
ワシが私淑し目標とする徒然草の兼好先生に敬意を表して、その内容に関して勝手に思うところを書いてみよう。全部で243記事あるけど大丈夫やろうか。 『人間、このようになりたいという欲望やプランがある。そのプランは学問や芸術などの世界で人から一目置…
カムイ伝などの代表作で知られる漫画家白土三平さんが89歳で逝去された。ワシがこの有名なマンガに触れたのは高校の図書館で、読み始めると止まらずとても衝撃を受けたのを覚えている。 士農工商穢多非人という階級制度があった江戸時代を舞台に被差別部落出…
2022年から地理が高校で必修になるらしい。これまで長年にわたり世界史が必修であったために、高校で地理を学ばない人も多かった。ワシもそのうちの一人である。中学生の頃、割と地理が好きだったので授業がないのが残念であったが、独自で勉強して大学入試…
本棚の本を処分していたら啓発録を見つけた。昔、会社の研修時に外部講師の方が勧めていたために購入したものである。懐かしく再度目を通した。 啓発録は安政の大獄で若くして処刑された福井藩の天才、橋本左内が14歳の時に書いた自己を律する規範の文章であ…
森先生はもともと名古屋大学工学部の建築学科の先生であるが、アルバイトで始めた作家業が大ヒットしたため、ミステリー作家としての顔の方が有名になってしまった。もはや働く必要がないほどのヒットぶり(確か映画化もされたはず)であったので47歳で早々…
徒然草に続いて方丈記の解説本を読んだ。徒然よりもさらに100年前、無常の文学で有名な作品だ。 長明の時代、京都で起こった大火事、大地震、竜巻、大飢饉、突然の京から福原への遷都。いずれも抗い難い自然や大きな権力が関与しており、個の力ではなすすべ…
GW中に図書館で借りた新刊である。丹羽氏の本は以前に他にも何冊か読んだことがあるが、パワフルでエネルギッシュなおっちゃんという印象である。世の中にはパワフルでエネルギッシュな人種がいる。ワシは正直苦手なタイプであるが、このような人は生まれな…
棋士、森信雄。故村山聖九段の師匠である。この門下よりプロ棋士がたくさん輩出されていることからも数ある入門先の中で名門といってもいいだろう。 森棋士個人は目立った成績を上げている訳ではなく、他にも時代を代表する凄い棋士は大勢いる。自らのことを…
日本国勢図会のジュニア版である資料集、日本のすがたという冊子を久々に見た。小学生の頃に社会科でこの本を持っていて良く眺めた記憶がある。日本の経済、産業、社会に関するデータが記載されているため地理好きにはなかなか面白い。 国内で最も長い川、大…
格差は広がり続けるという現象に理論的な裏付けがされた。トマ・ピケティの格差論『21世紀の資本』にある理論式r(return on capital)>g(economic groeth rate)である。労働で得られる収益率gは株不動産運用で得られる成長率rに勝てないというもの。早い…
初版1989年。当時高校2年生だったワシはタイトルに魅かれてこの本を読んだ。中島らもはコピーライターでもあるので、もしかするとこの本のタイトルも出版社でなく自らつけたのかもしれない。 内容は彼が過ごした地元の町でのモラトリアム時代(高校生、大学…
最近徒然草の訳本を読んだ。古文は学習する意味が全く理解できなかったためまともに取り組んだ経験がない。大昔の受験生時代、センター試験でも問題文を全く読まずに適当に解答してやった。取り組む以前にやる気がないのだ。世の中に先人たちが訳した現代語…
コロナが始まった後に出た本で、未来の年表シリーズの一部なのだろうか。 未来予想をする本も多い中、この著者のシリーズはなかなか人気があるようだ。 タイトル通り2020年以降2059年までの今後40年で起こるであろう近未来について予想している内容である。…
2020年に出版された長岡先生の一般書。近況の写真を見るとお年を召されたという感じ。ワシがアラフィフで高校生の時に旺文社受験ラジオ講座で習っていたわけだからそうなるわね。本書は講演記録を文章にしたものであるため読みやすい。現在の数学教育への懸…
外山 滋比古さんの訃報ニュースがあった。96歳とのこと。外山先生といえば、学生時代の国語の試験に作品が引用されることが多く、難解な文章に苦しめられた我々世代にとっては思い出深い先生だ。また、先生の代名詞となった思考の整理学という本もすぐに思い…
世は古墳ブームであるらしい。古墳女子たちがこぞって古墳検定試験を受け、古墳巡りを行い、博物館で配布される古墳カードを収集している。これら一連の行動を墳活というらしい。前方後円墳で萌え萌え!古墳に大コーフンするらしい。←私が言ったのでない、何…
藤井聡太七段のタイトル戦が続いている。恐るべき強さで人工知能が6億局面計算した際に浮上した最善手を数十分の長考の末に指したという。いつの時代でも天才は脚光を浴びる。確かに天才といえど人間であるが故の苦労はあるのだろう。しかし私には脚光を浴び…
本書はその昔中学生の国語教科書に一部が載っていた。確か氷山の話だったと記憶している。 海に浮かぶ氷山のように知っている部分はごく僅かで、大部分は海面下の未知の状態。留学する今の自分と同じ状態で知らないこと、発見すべき事はまだ未だたくさん眠っ…
人材のコモディティ化が起こっているという出だしから始まる。家電製品や牛丼などのコモディティ化がわかりやすく、例に出されることが多い。確かに家電はTVも冷蔵庫も掃除機もエアコンなどを見ても、機能、性能、デザインにおけるメーカー差は僅少でどれで…
コロナ禍が続いている。GW中もほぼ外出せずに時間を持て余していたので、昔熱中した本を読んだ。江戸川乱歩の二十面相シリーズである。現在は青空文庫から大体の作品を無料で読むことができる。 www.aozora.gr.jp 二十面相シリーズは小学生向けに書かれた探…
以前から読みたかった本。図書館で予約していて順番が回ってきたので早速読んだ。面白い。分厚い本だったが一気に読めた。司馬遼太郎の本は中毒性があるため要注意である。 内容は明治維新から初期に活躍した佐賀の乱の主謀者、江藤新平の活動を描いた小説。…