もはやこれまで

隠遁を願うアラフィフ会社員。中学校の卒業文集で将来の夢は”何もしないひと”と書いた。あれから35年、夢も画力も変わっていない。

GWひとり旅行

 最近ほんまにやる気がない。特に会社。なんのスキルアップにもならないような業務をやっている時間が無駄に感じて退屈だ。こんな人生の時間の使い方をしていていいのだろうかと悩む。

 

 思えば中学高校生の時もほぼ同じことを考えてきた。こんなどうでもいい、考えようによってはくだらない授業を受けるために生活時間の大半を使っていいのだろうかと割と真剣に悩んでいた。

 

 もともとそういう性格なのかもしれない。悩み多き人生だ。冷静に考えるといまさら多少スキルアップしたところで50歳を超えたオッサンが害になることはあっても何かの役に立つとは思えないのだが。

 

 ミッドライフクライシスというらしい。40-50の中高年に起こるメンタル低下である。一見して新語のようであるが要するに昔からある、更年期障害である。現在ワシはこの症状の大半に当てはまっている。最近疲れる、やる気が出ない、とくに会社では元気とやる気がないが家に帰ると元気と勇気が湧いてくる、休日が待ち遠しい、、、といった症状である。

 

 対処法の一つに全く新しいことにチャレンジということらしい。ということで妻ミッションによりGW中に一人でどこかへ行ってこい、ということになった。ただでさえ混むGW。観光地は外国人だらけで腰が重い。近場の天橋立に行くことにした。最初は彦根城ひこにゃんを見に行くプランと悩んだが、最近ひこにゃんも有名になり出し惜しみしてなかなか姿を現さず、城より海の方がいいかと思って天橋立を選んだ。

 

 前日に復路の高速バスを予約。行き予約バスはとれなかったので始発電車で行くことにした。朝5時の電車に飛び乗り京都-亀岡-園部-福知山-宮津を経由してなんと8時30分に現地に着いた。驚くべきことにすべての電車で座ることができた。

 

 8時台の天橋立はまだ施設の営業時間前もあってか閑散としている。前日が平日で宿泊客がいないことも影響しているかもしれない。あまりにも誰もいずに不安になってきたが取り合えず廻旋橋をわたり対岸の傘松公園を目指し、長さ3.6kmある砂州の上を歩く。

 

 この砂州は昔に形成されたもので多くの有名人がこの土地に関する足跡を残している。和泉式部雪舟細川ガラシャ松尾芭蕉与謝蕪村与謝野晶子昭和天皇、、、。地理や歴史好きなら結構面白いかもしれない。和泉式部で有名な磯清水は興味深い。周りすべて海に囲まれているのに砂州の下からなぜか真水が湧いている小さな井戸である。どんな仕組みになっているのか。ここで手を洗った。

 

 対岸まで徒歩50分ほど、籠神社に立ち寄った後ここからリフトで山を登る。時間が早いせいもあってガラガラである。思ったより高所でビビる。傘松駅からの眺めはよろしく、なかなか素晴らしい。しばらくベンチで滞在したあとに下山。

 

 帰りは船で帰ろうかと思ったが、なんと対岸まで10分で着いてしまうので帰りも歩いて帰ることにした。そんなに早く戻っても他にやることがない。また3.6kmを歩く。だんだんと人が増えてきたようだ。早めに用事を済ましておいてよかった。

 

 だれもいない海岸に座って持参したおにぎりを食べた。そのあとはずっと波を見て過ごした。楽しいはずのGW初日に疲労困憊した無気力の中年が独り寄せては返す波をじっと見ている。これ以上怪しい光景はない。

 

 そうそう大事なことを忘れていた。妻ミッションでそこの名物を食して証拠写真を撮ってこいと言われていた。たいして空腹ではなかったが、土産物道を物色していると焼きたて黒ちくわの幟が出ているので食べることにした。軒先に並んでいた腰掛椅子に座って食していると中国の団体様一行が通りすぎた。ちらちら見られて恥ずかしかった。ワシにもまだ恥ずかしいという感情が残っていたのかと思うと少しだけ安心した。

 

 少し時間があるので廻旋橋近くのベンチに座り、大型船が通るたびに橋が回転する様子を見て過ごした。回転円運動なので道幅がある分、軌跡を考えれば橋の端部が引っかかるために橋継ぎ目で隙間ができるのではと思っていたが、結構ぴったりと接合しておりびっくり。どうなってるんやろ。帰って計算してみよう。

 

 夕方帰宅。高速バスはやはり楽だ。この日2万歩近く歩くことになった。膝が痛い。初日にしては上々の出だしである。