もはやこれまで

隠遁を願うアラフィフ会社員。中学校の卒業文集で将来の夢は”何もしないひと”と書いた。あれから35年、夢も画力も変わっていない。

保湿の是非

 アトピーは肌がガサガサになるので保湿が必要と良く指導される。保湿の目的は肌にうるおいを与え、表面をバリアすることにある。しかし、かえって保湿することで痒みを増したり、保湿剤と反応して痒みが出たりする場合もあり、保湿は不要ではないかという専門家の意見もある。はっきり言って患者側にしてみれば、アトピー寛解すればどっちでもよいでのある。HPなどでコメントされている先生の意見を比較してみよう。

 

①保湿する派

 大部分の皮膚科医はここにカテゴライズされるであろう。理由は乾燥した肌にうるおいを与えて保湿を行い、アレルゲンの侵入をバリアするためである。中には風呂後10分以内に保湿せよとか、体に水滴がついている状態で保湿せよとアドバイスする医師もいる。風呂上りは急激に乾燥するのでわからんでもない。

 

アトピー炎症の部分には保湿しない派

 アトピー部分には保湿せずに、ステロイドを塗った後で保湿するという順番や塗分けが大事と主張するのは、前金沢大/皮膚科の竹原先生。保湿後のステロイド塗布はTシャツの上から薬を塗っているようなもので効果が薄いとのこと。

doctor-takehara-atopy.jp

 

③原則保湿しない、できるだけ使用しない派

 原則保湿しないのは滋賀医大/皮膚科のチームである。滋賀医大出身の皮膚科医は大学の教えもあってか、開業医も含めてこの論を主張しているようだ。乾燥する冬場を除き、保湿剤がかぶれの原因となる場合が多いために、入浴後の保湿習慣は改めるべきと言っている。

https://www.shiga-med.ac.jp/hospital/doc/magazines/files/566.pdf

 

 昨年閉院となったが新大阪の渋谷皮フ科クリニック/渋谷先生も自然治癒を重視する考え方。健全な皮脂膜が自力でできにくくなる、汗や炎症物質が皮膚の下にこもって、アトピーを悪化させるというのがあまり保湿をしない理由。HPは2012.12で閉じる案内がでていたのでリンクは載せない。

 

④保湿しない派(保湿依存からの脱却派)

 佐藤健二、藤澤 重樹先生が有名。著書もある。保湿依存はかえって回復を阻害する。自力で保湿することができない肌になる。両先生は脱ステロイドの実施もセット。野生動物で自分で保湿しているものを人間以外で見たことがないとのこと。分かり易い例えをあげるための文言であるとは思うがさすがに飛躍はしていると思う。それを言い出すと病気時に医者にかかる野生動物もいない。

 

 結局どれが正解か?どの理屈も確かにそうだなと思う部分はある。どれが正解なのかは時と場合による、人によるということなのだろう。画一的にこれが正解というのはないようだ。であるならば各個人がいろいろとモルモット的に試行錯誤して自分に適した処置を見つけなければならない。それならそうである(個体差があるので、一般化、法則化しにくい、自分で考えて!)と指導すればよいのに、と思うのはワシだけか。

 

 ワシ的にはどれをやってもいまいちだったぞ。最近は風呂上がりの保湿はしないようにしている。単に毎日保湿剤を塗るのがめんどくさくなってきただけであるが。ガサガサになるが放っておく。さすがにこれに脱ステを加えるとえらいことになる(経験者は語る)のでQOLを考えると多分やらないだろう。会社を辞め、人に合わなくてもよい状態で脱ステに理解ある医師の下でしかできないな。