もはやこれまで

隠遁を願うアラフィフ会社員。中学校の卒業文集で将来の夢は”何もしないひと”と書いた。あれから35年、夢も画力も変わっていない。

オーヘンリー短編集で思ったこと

 

 オーヘンリーの短編を原文英語で久々に読んだ。AFTER TWENTY YEARS(「20年後」)という6ページほどの短編である。オーヘンリーの短編は「最後の一葉」や「賢者の贈り物」がすごく有名であるが、この「20年後」もなかなか印象深い。昔高校生の英語リーダー教科書に全文が掲載されており、授業で習ったのを覚えている。

 

 20年前、仲の良い親友と分かれる際、また20年後、互いにどんな境遇になっていようとも生きていればこの時間、場所で再会しようという話だ。その後、片方は警察に手配されている犯人、片方は警察になっていた。警察となった方は街を巡回中、再開少し前の時間に早く訪れていた昔の相棒と出会う。その直後別の刑事により相棒は逮捕された。20年という歳月は人を悪人にも善人にもする。自分は約束は守った、自分では貴方を逮捕できなかったので刑事に依頼する、という手紙が添えられていた。

 

 これだけの話であるが、何かうーむとうなってしまう、人生の機微やアイロニーが琴線に触れる短編である。原文英語は結構難しかった。今思えば高校時の英語リーダーは易しい単語や表現に変えられていたようである。英語は結構勉強してきたつもり、時間も費用もかけてきたつもりであるが、有名な短編小説ひとつ、辞書なしでまともに読むことができない。外国語の壁はほんとに厚い。短編集と同じ様に人生の哀歓が身に染みる今日この頃。

 

教育革命で生まれるニュータイプ

 

 IT革命で教育スタイルも大きく変化が起こった。革命はあちこちに飛び火するのだ。ワシが学生の頃は教科書だの辞書だの資料集だのをカバンに詰め込み、すし詰めの教室へと赴いていた。辞書類だけでもすごい量だったぞ。英和辞典、和英辞典、古語辞典、何とか便覧に資料図録、大して使わへんのにめっちゃ重い(もう全部捨てた)。今やスマホiPadにすべてが収納されている。最近の私立中高では授業で使うので全員iPad購入が必須だ。文字も画面にかいて保存できるのでノートは不要だし、先生が書いた黒板の板書も高精度カメラでパシャっと撮影。社会科などの暗記要素が強い教科は授業をスマホで録音すれば、倍速モードでいつでも聞き直せる。

 

 技術やITツールの発達により教育スタイルが変わり、21世紀は旧来よりも優れた万能人が創出される(ガンダム世代らしく、ニュータイプと呼ぼう)のではないか、という仮説がゆげ塾のyoutubeで議論されていた。

 

 最も大きな変化は”ながら勉強”ができること。その昔、二宮金次郎は薪を運びながら本を読んだが、今でいう歩きスマホと一緒で大変に危険な行為である。道路事情の悪い江戸時代であればなおさらだ。したがってあれは単に格好だけで実はさほど本には集中できていないと思われる。その分効率も低下するのだ。一方、ハイテクツールを用いればワイヤレスで音声をイヤホンに飛ばし、外部音取り込み機能を作動すれば安全に音声を聞くことができる。移動しながら、運転しながら、運動しながら、食事しながら、情報インプット時間の確保が可能なのである。

 

 本を使ってみんなと一か所に集まり机に座って、という従来のスタイルが変わりつつある。極論すれば睡眠以外は同時並行で時間をより多く利用できるため、とんでもないニュータイプがそのうち出現するかもしれない。

 

 

 

 

 

 

深夜のガス騒動(未解決事件)

 先日睡眠中の夜中1時くらい、余りのガス臭におもわず目が覚めた。確かにニンニクのような、プロパンガスのような臭気が辺りに立ち込めている。これはガス漏れかもと思った。ワシだけでなく、匂いのせいで妻も寝床から半分寝ながら起きてきた。

 

 都市ガス、天然ガスには本来匂いはないが、漏れた際に気づくために感知できる臭気物質(メルカプタン系やサルファイド系のもの)を入れている。付臭という。その匂いは人が寝ている場合でも異変に気付くレベルの臭気を付けるように法律で決まっている。

 

 台所のガスコンロへ確認に行ったが特に臭気はしない。あれ?おかしい。部屋の窓の外も確認したが特に匂いがしない。寝室のみは僅かに残り香が漂う。おかしい。かといって放屁の記憶もない。妻もないという。しかも、そもそも昨晩にニンニクなど匂いの出るものは食していないのだ。

 

 不可解、複雑怪奇なり。密室ガス事件の誕生である。ワシは直感的に事件の迷宮入りを予想した。起こりえる可能性としてワシが睡眠中に全く無意識に放屁をし、自身の放った臭気に耐えられず目を覚まし、外部の犯人を捜しているという説が有力候補として浮上した。自身の放った臭気にやられるって、お前はカメムシか。ちなみにスカンクはおならで自身がやられることはないみたい(豆知識)。

 

 事件から数日後、本件は当局により証拠不十分につき未解決事件として処理された。

 

 

 

 

コロコロしばちゃんを食す 

 

 藤井聡太棋士が十代で三冠獲得というすごい記録を作った。羽生さん以上の天才は出てこないと思っていた。世間が暗い中、嬉しいニュースである。才能あふれる若者はどうしてこうも神々しく素晴らしいのだろう。一方で才能が枯渇してるおっさん(ワシ)はどうしてこうも哀しく鬱陶しいのだろう。

 

 さて今回は獲得した叡王タイトル以外に話題となったことがある。対局中のおやつ時間に出されるお菓子にカップケーキ『コロコロしばちゃん』を食したということだ。叡王戦の主催者がペコちゃんの不二家なので、自動的に不二家の商品がラインナップとなる。その中でも敢えての『コロコロしばちゃん』である。これをチョイスする勇気にワシは感服した。案の定、1日経たずに『コロコロしばちゃん』はネット上で大ブレークし、売り切れ続出、不二家で入手困難な一品となった。

 

 さっそくこの情報を藤井聡太の熱烈ファンである妻へLine発信し、『コロコロしばちゃん』食べたいのーと申し出た。そうするとなんと会社の昼休みに不二家へ立ち寄り『コロコロしばちゃん』調達へ尽力頂いたのだ。しかも一軒目の店舗は売り切れだったという。近隣他店の在庫確認を行い、取り置きをしてもらっての入手となった。素晴らしい対応である。

 

 現地の情報によると藤井三冠が『コロコロしばちゃん』とチョイスを迷った『コロコロくまさん』の方は沢山余っていたようだ。不二家HPを見ると、しばちゃんもくまさんも構造はほぼ同じなので(しばちゃんは柴犬なので麿みたいな白眉がある)どちらでも一緒なのだが、実物しばちゃんを食べれたのは喜びである。今日一日、気の滅入る在宅勤務を行った甲斐があったというものだ。

 

 ところでコロコロしばちゃんは激アマであった。藤井三冠ほど脳を酷使しないため、当分は甘い物は不要と思われた。

 

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刮目せよ、これがコロコロしばちゃんだ!


 

45歳定年説

 

 サントリー社長の45歳定年制発言が議論を呼んでいる。人の能力には発揮できるピーク時期があるので45歳で定年は特に違和感は感じない。社長の主張も一理ある。ワシはメーカーの会社員であるが、開発職の現場プレイヤーとして体力があってバリバリ動けるのは実体験から考えても20台後半から40過ぎまでであると思う。そのため40歳を過ぎると企画とか管理になる場合が多いのであるが、これは正直向き不向きがあるし、全員で管理をやっても仕方がない。管理者は少数でよいのだ(今のワシの所属部署みたい。平均年齢はたぶん55歳くらいだぞ。なんせワシが2番目に若い)。

 

 研究開発者としてよく動ける人でも管理職として有能かどうかはまた別問題である。スポーツの名選手がみんな名コーチ、名監督になるかどうかを考えるとわかる。また日本は管理職や経営陣はなんとなく年配という固まったイメージがあるが別に若くても適任であれば管理職をどんどんやればよい。

 

 問題は45歳で定年後の受け皿だろう。就職募集に第一次定年の新卒者として45歳以上のおっさん募集枠を設けるとか、ほんとに定年する場合は、生活に必要な最低限のベーシックインカムで余生を過ごすとか、なんらかの制度との同時並行が必要だ。

 

 もし日本企業が法律で一斉に45歳定年を実施(45歳以上総入れ替え)すれば、またワシは新調した紺色リクルートスーツにストライプネクタイの出で立ちで、履歴書を携えて会社訪問やOBOG訪問をするのだろうか(OB訪問ってそもそもお前がすでにOBやろー)。行き場を無くした哀愁漂う新調紺色スーツの群れ達が日中ビジネス街の公園で寄り合っているのが当たり前の光景になるかもしれん。想像したくない近未来だ。

 

 

今城塚古墳へ行ってきた

 

 GW以来、久々に電車に乗って外出した。外壁工事が続くため、家にいても息が詰まりそうなので比較的近場の古墳へ散歩を兼ねて赴いた。高槻市が誇る、いましろ大王の杜である。最寄りのJR駅から何気に結構歩かされた。

 

 今城塚古墳は淀川流域では最大級の前方後円墳である。継体天皇の墓とされている。福井県出身らしい。これくらいの大きさまでであれば周囲を歩くと形状が前方後円墳であることは認識できる。環濠のまわりには土器が並べてあり埴輪が乱立しているゾーンもあった。広い公園であるが散歩している人がいるくらいで特に歴史マニアはいないようであった。

 

 すぐ横に隣接している無料の市立今城塚古代歴史館にも立ち寄った。非常に立派な建物であるがワシらを含め3組しか客がおらず、閑散としていた。受付が2名座っており、こちらが入り口でーすと案内された。一見すごく楽そうな仕事のように思え、ワシもやってみたいと思った。中に展示されているのは主に発掘時に見つかった土器(歴史で習った土師器や須恵器、高坏なんか)やら埴輪やらがずらりと陳列されていた。どころどころに手をかざすとスピーカーから流れる音声解説があったが、なぜか関西弁で海外の観光客にこの施設をアピールする気ないやろーと思った。

 

 熱心な古墳ファンでない限り、一度見れば十分という感じであったが、久しぶりに長距離を歩けたのはよかった。10700歩で8km。

 

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埴輪ゾーン


 

 

 

 

 

 

アパートの外壁工事始まる

 9月からアパートの外壁塗装工事が始まった。初めての経験であるが、建物が傷まないように15年に1度くらいの頻度で足場を組み外壁塗装をすべて行うらしい。

 

 何が困るかといえば工事が終わる1ケ月の間、ベランダに洗濯物が干せず、窓は養生するために開けれない。ペンキの有機溶剤臭が部屋の中にぷんぷんするし、外では職人がベランダを行き来する。当然目があえばお互い気まずいのでカーテンは閉めている。昼間不在であればよいのだがこの緊急事態宣言の中、こちらは在宅勤務なのである。

 

 雨どい部品などを取り外すドリル音が響き、部屋温度が次第に上昇していく中、ペンキ臭が充満する。タイミングの悪さと運の悪さを感じながら、仕事やる気無さマックスになるのだ。まだワシの居るアパートは小さいから1ケ月工事で済むものの大きなマンションだと工事が半年くらいかかるらしい。お願い!早く終わってくれー。

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工事中