もはやこれまで

隠遁を願うアラフィフ会社員。中学校の卒業文集で将来の夢は”何もしないひと”と書いた。あれから35年、夢も画力も変わっていない。

日本低学歴化


 立命館アジア太平洋大学学長 出口治明氏の著書紹介の記事より、日本は30年間停滞している。この間さぼっていた訳でなく正社員の年平均労働時間は約2000時間で不変であるという。このデータは多分だが慶応大の先生の著書『労働時間の経済分析』からだと思われる。

 

 とすれば年130日休みとして一日平均8時間強、労働していることになる。ここに通勤時間や飲み会行事などが加わると日本の会社員は勉強の時間がとれない。日本の大学進学率低い→大学で勉強しない→会社員も勉強しない→日本発展しようがない、との論理。

 

 調べてみてわかったが日本って案外大学進学率が低い。世界では50番目くらいで先進国では最下位に近い。理由は国の補助金が少なく、加えて無料奨学金などのバックアップも少ない。したがって授業料が非常に高くなるためと思われる。

 

 メーカー工場の現場要員、開発要員を大量生産するモデルではこのスキームが意外にも通用し、むしろ日本は成功例だったが、ルールに従い真面目にモノづくりでなく、アイデア創出や一見して解が見えない課題解決力が重視されるBizに移行していく中、昔と同じことをやっていても停滞する。

 

 これまで同様にコツコツ我慢し従順で満遍なく平均的に無難にこなす人間が一定数は確かに必要だが、ある分野だけ飛び抜ける尖った人間の教育や受け入れ体制も必要と説く。隣を伺いながら皆と同じ平均でいることが大好きな日本人にとってマインドチェンジするには難しく受け入れがたい現実かもしれない。周りと比べず無関係に独自の路線を進む。とても憧れる。

入門英文問題精講を休日にやっている


 最近の問題集の評判が良いのでどんなものなのかを確認するため(←なんでやねん)、妻にメルカリで400円で購入してもらった。ほぼ新品に近い状態である。この値段で時間を潰せるなら安い。

 

 短英文が全部で72題あり、多くがどこかの大学入試で扱われた英文の抜粋である。レベル的には入門の高校1年くらいとなっているだけあって凄く難しいわけではない。割とスイスイ読める。こんなレベルがちょうどよい。60題ほどやってみると時々知らなかった事項や、へーそうなんやという箇所が出てくる。

 

 ネットダウンロード音声や著者(カリスマの竹岡先生)の動画解説なんかも付いており、至れり尽くせりの感じ。解説も分かり易い。見開き2ページで英文と解説が完了しているレイアウトでページを繰ったり戻ったりする必要が無い。使い手のストレスを減らす工夫がなされており学生の時こんなので勉強してたらもっと苦労せずに済んだかもと感じる。

 

 とりあえずサクッと終わらせて何週かさせた後で次の作品へ進もう。しかしワシは一体何を目指しているのだろう。

熊本の半導体


 シリコンアイランド九州の熊本に台湾の半導体企業TSMC が進出しバブル状態になっている。その一方で懸念されるのが水問題。半導体は洗浄用途で大量の水が必要になる。熊本の水は多くが地下水(水道水の地下水利用は日本一?)であるために汲み上げすぎないよう、再利用などの循環が必要になる。半導体に与える水を優先するあまり人や農作物に与える水が無くなる、制限がかかるのは本末転倒である。もちろんそうならない対策を行ってはいるが。しかし再利用のシステムは必要になってくるだろう。

 

 ネットを見てると、熊本は米を捨てて公害経済(こんな用語があるかどうかは知らんけど)を選択するのか?という文言があり、成程と思った。米収穫上位県の熊本は米よりも産業のコメである半導体に注力し、環境負荷はあるもののより利益出る方を選ぶのか!という意味だろう。

 

 半導体産業は水資源だけでなく電力も多く必要、有機物汚染なども発生する。一次産業(農林水産)は国家の基本とはその通りであるが、悲しいかな3K労働でかつ儲からない。これといった地場産業が無く斜陽化が進む地方県がこのような話に飛びつくのは非常によくわかる、一方でなんとかならんのかなー、なんともならんわねーとも思う。複雑な心境である。

まんが弓道士魂を読む

 

 無料漫画サイトで弓道士魂というタイトルの漫画を読んだ。表紙が既に今の時代にそぐわない劇画風であったのであまり期待はしていなかったが、予想に反して面白くのめり込んだ。1970年頃の漫画らしい。京都三十三間堂の通し矢を題材にした内容である。

 

 通し矢とは江戸時代、三十三間堂の本堂軒下の121mある外廊下にて武士たちに弓術の技量を競わせるために始まったという。廊下の端から矢を放ち、矢が無事上手く廊下を抜ければ成功である。これを丸一日行い、成功した累計の本数を競う。その年度の優勝者は大矢数天下一として三十三間堂の額縁に記録を飾られるのだ。

 

 上手く狙いを定めなければ屋根の軒下に当たってしまうし、矢の力が弱いと届かずに途中で失速し廊下に刺さる。三十三間堂には今でも軒下に矢の跡が多く残っているようだ。丸一日実施というのがポイントで弓を繰り返し長時間ひき続けることができる強靭な体力や的を狙う集中力が必要だ。

 

 最初は誰でもが参加できるものであったらしいが、藩が関与するようになってから、藩の名誉を背負って参加するようになってきた。紀州藩尾張藩のバトルというか意地の張り合いが凄まじい。そのためにこれまでの記録を破ることができなければ藩の恥であるとし、その場で切腹して果てる参加者も多く出てきた。競技に参加するのも命がけであった。

 

 この漫画は通し矢が中止になる少し前に大矢数天下一となった星野勘左衛門の半生を描いたものだ。脚色は多少あろうが多くは史実に沿って描かれている。幼少期より筋がよかった勘左衛門は弓の師につき狂ったような鍛錬を毎日行う。自分がなんでこんなことをやっているのか、やって意味あるんか、藩の見栄のために利用されてるだけの意思なき操り人形である、など思うところは多かった。

 

 しかも世は鉄砲の時代。弓などは娯楽や余興のような廃れた感じとなっている中、人生の全てを弓を引くことに捧げ、記録を出さなければそれを恥じて切腹する。なんて潔く、分かり易く、気高く、かつ同時に馬鹿げた下らない生き様なのだろう。江戸時代の武士はある種狂人じみている。だからこそなのか、現在の我々から見ても信じられないような業績を後世に残したりする。

 

 通し矢中止をお上に進言したのは勘左衛門であった。時代と目的にそぐわなくなっていると。弓は自己鍛錬のものであり、記録を競ったり、政治利用すべきではないと。現在も三十三間堂では毎年1月 に弓競技が行われている。晴れ着を着て弓を引く風物詩の一種でイベント行事として継承はされている。そこには命を懸けて弓を引く張り詰めた空気や息遣いをもはや感じることはない。

コロナ罹患の顛末記


 5類移行に伴い 安心していたところコロナ罹患した。会社周りでも結構流行っている。感染ルートは明確で妻会社で前に座っている同僚がゲホゲホしてコロナ→数日遅れで妻がゲホゲホしてコロナ→部屋隔離してマスクしても意味なく翌日ワシもゲホゲホしてコロナ。感染性は強く濃厚接触者はもはや回避できない。甘く見ていたが罹るとそれなりに辛い。


 最初病院へ行くかどうか、妻は対処法を京都府の相談センターに電話して聞いたが、薬飲んで自宅療養せよとの回答。コロナ9波と熱中症で病院は逼迫しており、本当に緊急に医者の診察や手当を必要とする人にまで順番が回らないので、通常のコロナごときでいちいち病院に来ないでくれということなんだと理解。もちろんこんなストレートな言い方をされたわけではないが。

 

 40℃近い発熱が3日ほど続き、喉が猛烈に痛く、唾液さえ飲み込むのが辛い。水や食料の常備はあるが当然そんなものを飲み込める状況ではない。熱や痛みが緩和するロキソニンを6時間ごとにフル投入し、痛みが和らぐ瞬間をみて水を少しだけ飲む。

 

 もっとも辛いのは薬が切れかけの時である。喉が痛すぎて薬が呑み込めない。水を飲んでも痛すぎて食道に入らずに鼻の方へ逆流してくるのだ。悶絶しながら錠剤を飲み込む。声もほぼでなくなった。このままでは脱水症状を起こすかもと思った。でも水は目の前にあるのだが飲めない悩ましい状態であった。

 

 心配した妻が休日ではあったが、喋れないワシを休日応急診療所へ連れて行ってくれた。行く前に電話を入れたがコールしても全く繋がらず、ここでも逼迫した状況が予想された。5,6回時間をおいてかけなおし、ようやくアポが取れた。

 

 診療所では外のプレハブでコロナ検査を行った後、ロキソニンと咳止めを渡された。妻がしゃべれないワシに代わって、水が飲めない、鼻へ逆流するので水分点滴できないかと相談したが診療所では対応できず、通常診療では他の病院へ行っても対応してくれるかどうかということだった。普段から懇意にしているかかりつけ医ならやってくれるかもしれないと言われた。そして最後には50歳なんだから頑張って飲め!と言われた。

 

 2日間ほどそんな状況だったがようやく水が飲めるまでに回復してきた。その後熱は下がり外出できるまでに復帰した。しかし嗅覚障害、喉の違和感、倦怠感は続いた。大学の報告では感染後に半数以上が重症度に関係なく後遺症があるとのこと。


 その後:発病が7/29なのでほぼ1か月経過。現在、嗅覚は概ねもとに戻ったと思う。痰が絡んだような喉の違和感と咳はまだ少しある。妻も同様な感じ。また倦怠感もあり体力が落ちており、集中力を欠き、会社業務のやる気が全くでない。もっともこれは以前から継続しておりコロナとは無関係かもしれないが念のため記載しておく。

ブルーライトカット眼鏡、意味なし


 オーストラリア・メルボルン大学「コンピューター使用に伴う目の疲れを軽減するためのブルーライトフィルター付きめがねレンズを使っても、短期的にはメリットがない可能性があることが分かった」「我々の見解は、一般の人に対するブルーライトカットのレンズ処方を支持しない」


 なんで改めてこれがニュースになるのかな。日本眼科学会も以前から同じような意見書を出している。これが正しいと思っていたことや今の常識も更なる調査研究の結果、後で覆るのはよくある話。ただ一度ついてしまったイメージや風評を覆すのは結構時間がかかるのだ。

 

 既にブルーライトカット関連のビジネスも確立しており既得権益もあったりする。歴史を学べばこれまでも何度もこのようなことはあったことがわかる。なかなか人間って賢くならない。愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。ビスマルクの言葉が身に染みる。

総務の相談

 

 ネットの総務記事にこんな質問があった。定期昇給しても税金も増えることから手取りが減少する場合があることから、頑張りがいがない。業務に対してますますやる気が失せるという人がいる。どうしたらよいか。みたいな問い合わせ(事実上の文句に近い)があった。

 

 ワシも最近この現状に近く、定期昇給してももれなく税金も増えることからなんと手取りが減っていることがある。いっそのこと評価を下げて次年度から減額してくれた方が手取りが増えるという意味わからん状況だ。

 

 これに対する専門家の回答が面白かった。文句の言い先が間違っている。そんなこと会社総務にではなく国に言え!

 

 確かにその通りだ。久しぶりに腹落ちした。