もはやこれまで

隠遁を願うアラフィフ会社員。中学校の卒業文集で将来の夢は”何もしないひと”と書いた。あれから35年、夢も画力も変わっていない。

点検・管理の大切さ

 ベイルートで大爆発が起こった。ニュース映像を見て場所が場所だけに最初は爆弾が落ちたのかと思ったのだが、大量の硝酸アンモニウムに着火したとのことだった。硝酸アンモニウム(硝安)は高校化学では窒素補充の化学肥料もしくはTNTと混ぜる火薬の原料として暗記する。ハーバーボッシュアンモニア工業プロセスのところで出てくる物質だ。でも実際に手に取ってみたことはない。これが約3000トン保管された倉庫が爆心地で、管理の甘さからこのような事態に至った様子。

 

 点検管理の作業って非常に重要な業務にも拘わらず、やってることがとても地味でルーチン化されてしまうのでつい手抜きになる。点検した内容の承認チェックもほとんど盲印になり、書類の体裁のみ整っている状態になりがちである。そうして大抵は大きな事故や事件になってから発覚し、世間からバッシングを受ける。今回のような危険物取扱だけでなく、工場部品の老朽化交換や航空機の機体チェック、QCのデータ改ざんやトンネル天板落下なんかがすぐに頭をよぎる。

 

 人にもよるのだろうが現状維持のための点検管理より、モノを作ったり、後に残る仕事のほうがやりがいはありそうな気がする。いつか世界一の橋やダム、高層建築を造りたいという夢をもつ子供がいても、将来出来合いのそれらを日々点検管理したいと思う子供は少数派だろう。マニュアルに決められた通り着実に実行するのは尊いが、それだけだとあまり頭を使わないし、刺激も乏しい。でもこのような大惨事を見るにつけ、だからこそ、点検管理業務にライトをあて、その業務価値をもっと高めてほしいと思う今日この頃である。

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点検管理中