もはやこれまで

隠遁を願うアラフィフ会社員。中学校の卒業文集で将来の夢は”何もしないひと”と書いた。あれから35年、夢も画力も変わっていない。

チョコレートとノーベル賞

 国民のチョコレートの消費量が多くなるほどノーベル賞受賞者が増える可能性があるという論文が2012に発表された。タイトルがキャッチーなので割と反響のあったものらしい。相関と因果関係の事例を考える際に引用されることが多いようだ。

 

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 グラフプロットを見るとなるほど相関係数はそこそこ高そうであるが、常識的に考えてじゃあ明日からチョコレートをモリモリ食おうとはならない。これは裏にその国が裕福かそうでないかという因子が隠れている。裕福であれば教育もしっかりしておりノーベル賞を輩出しやすい素地がある、裕福であれば金銭的ゆとりあるので嗜好品であるチョコを食う量も多い。従ってノーベル賞受賞者数とチョコ消費量に相関性がでてしまうのであるが、両者に因果関係は全くない。疑似相関である。単なる偶然ということもある。

 

 世間では疑似相関を巧みに使って人を惑わす奴らが多い。他の事例を調べると出てくるわ出てくるわ、疑似相関に満ち溢れている。面白かった事例ではこんなのがあった。「水泳プールでの溺死数」と「ニコラス・ケイジの映画出演数」には関係があるというもの。グラフを見ると確かに傾向は一致している。さすがにここまで行くと因果関係の有無に騙される人も少ないかと思うが。

 

 統計学に詳しいといえば、医学薬学、数学、社会学、経済地理などを高等教育で学んだ人たちであろう。大学なんかではこれらの学部へ行く人はきちんと数学をやらされる。しかし、特別な人だけでなく、2022年に高校数学で統計学分野が必須になるように多くの人が学んだほうがよいと感じる。データやグラフを示されるとコロッと騙され、信用してしまう人がまだまだ多いのだ。

 

 日本人の平均年収はいくらだの、平均結婚年齢は何歳だの、なんちゅーサンプルの取り方をして計算しとるねん、というものも多い。悪いことにこういうのは数値だけが勝手に独り歩きしてしまう。こういうのを一目で怪しいと見抜ける知識は身に着けたいですね。