メーカーでアーリーステージの研究開発をしているとネタに困ることが多くある。何を開発していいのかわからない。これだけモノが豊富にある時代、ことさら欲しいものなど大してないし、便利さの追求意欲もそれほどない。もう十分に便利だし既に多くの人が欲しいものを入手しているからだ。昔は三種の神器で冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビといわれた、それがカラーテレビ、クーラー、自動車に代わり、平成にはデジカメ、薄型テレビ、DVDレコーダーが新三種の神器となった。これからの時代、モノづくりからコトづくりと言われる。大きな利益を上げるには品質の良いものを大量生産するのではなく、目新しいブームを起こして品物を売ることである。トイレのウォシュレットやi-phone、電子書籍なんかがその例か。
昔、開発ネタを探すためにドラえもんの道具を調べてみようということになった。ドラえもんの道具は夢の道具、みんな欲しいに決まっている。数人でマンガ喫茶へ行き、手分けしてドラえもん全巻を読み始めた。非常に道具数が多い。途中から疲れてきたのか、ドラえもんを読まずに忍者ハットリくんを読む奴が出てきた。それを見て私は怒り、パーマンを読んだ。我々は作業を切り上げ、モグラという半地下にある飲み屋で反省会を行った。
その後ネットを調べると、同じようなことを考えてる人がいて、既にすべての道具と実現したか否かをまとめているリストが作成されているではないか。衝撃であった。
あれから10年以上経つが、ますます具現化された道具がでてきたように感じる。スマホ、skypeなどの映像通話、パワースーツ、自動翻訳機、お掃除ロボットルンバ、人工知能、、。ドラえもんって凄いマンガだ。人が想像できるものは現実となる可能性があるということである。
閉塞したこの国で今の日本人が欲しい最新三種の神器は、物質的な商品ではなく『金、時間、将来への希望』といったところか。今度はキテレツ大百科を読んでみようと思う。