コロナ禍が続いている。GW中もほぼ外出せずに時間を持て余していたので、昔熱中した本を読んだ。江戸川乱歩の二十面相シリーズである。現在は青空文庫から大体の作品を無料で読むことができる。
二十面相シリーズは小学生向けに書かれた探偵小説である。インターネットやファミコンがなかった小学生の時、二十面相や少年探偵団に入れ込んでしまい、学校図書館の乱歩本(ポプラ社のハードカバー)を片っ端から借りてきてわくわくしながら読んだ。二十面相派とアルセーヌルパン派に好みは二分するものの、周りには同様の症状を示している児童も多く、今思えば当時の一種の通過儀礼だったのかもしれない。高校生の時、久々に読みたいと思い、大人向きに出版されている文庫本を購入して読んだ。社会人になってからも時々無性に読みたくなり、地元の市立図書館で借りて読んだ。そのたびにいい作品だと思った。乱歩の文章は非常に美しく、なにかしらの中毒性がある。
今回も青空文庫でいくつかの作品を読みながら、乱歩に熱中していた子供の頃を思い出していた。勧善懲悪、予定調和な内容であるが相変わらずなかなか面白い。普遍的な面白さがある。youtubeやネットゲームに熱中している現代の子供たちはこのような楽しみを知っているのだろうか。